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国立大学O大学 研究センター教授 様より
この度はリーガチェックありがとうございます。 大変参考になるコメントでした。 ありがとうございます。
ITビジネス(ソフトウエア,システム開発・ライセンス・クラウドサービス利用等)のソフトウエアライセンス契約
◆ ソフトウエアライセンス契約の種類
ソフトウエアライセンス契約においては、当事者が「契約書を作成」する方法と、ライセンサが用意した「使用許諾書に同意」する方法とが主に行われています。
使用許諾書に同意する方法は、ネット上で一般的に用いられている「クリックオン契約」、店頭等で販売されているソフトウエアのパッケージに使用許諾を掲載する「シュリンクラップ契約」に大別されます。
以下、それぞれの問題点を見ていきたいと思います。
◆ ソフトウエアライセンス契約 契約書と著作権
ソフトウエアのライセンス契約に関しましては、著作権との関係が問題となります。
以下、ご説明させて頂きたいと思います。
◆ 著作権の保護の対象とならない「使用」
まず、ソフトウエアの「使用」は著作権の対象となりません。
この「使用」とは、ソフトウエアのプログラムを「実行」することを言います。
◆ ソフトウエアの「使用」についての判例
これに関連する裁判例としましては、ソフトウエアのプログラム実行時(使用時)にRAM上のプログラムは著作権法上の「複製」に当たらないとした、東京地裁判決平成12年5月16日があります。
◆ ソフトウエアの「使用」についての契約書作成上の注意点
契約書作成での注意点としましては、このソフトウエアの使用は著作権で制限されませんので、ソフトウエアライセンス契約の契約書上で必要な制限を加えることが重要となります。
◆ 著作権の保護の対象となる「利用」
上記のソフトウエアの「使用」とは別に、著作権による保護の対象となるのがソフトウエアの「利用」です。
これには、著作権法の21条から28条があり、「利用」には著作権者の許諾が必要となります。
◆ 著作権の保護の対象となる「複製」
(第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。)
「複製」とは、知財高裁判決平成28年4月27日によると「既存の著作物に依拠し、その創作的な表現部分の同一性を維持し、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為」としています。
典型例としましては、フラッシュメモリやCD-R等にコピーすることがこれに当たります。
◆ ソフトウエアの「複製」についての判例
また、東京地裁判決昭和57年12月6日の判決によると、ソースコードを変換ソフトを使用してオブジェクトコードに変換することも上記「複製」に当たります。
◆ 著作権の保護の対象となる「公衆送信」
(第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。)
公衆送信とは、簡単に言えば、(当該プログラム等の)公衆向けの無線・有線での電気通信による送信を言います。
クリック契約上での、インターネットによるソフトウエアプログラムの送信等がこれに当たります。
◆ 著作権の保護の対象となる「翻案」
(第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。)
「翻案」とは、知財高裁判決平成28年4月27日によると「既存の著作物に依拠し、かつその表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想、または感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為」を言います。
簡単に言えば、同じような内容の著作物を作成するものと言えます。
◆ ソフトウエアの「翻案」についての判例
ソフトウエアの「翻案」には、新機能の追加(大阪地裁判決平成13年11月11日)、既存機能の変更(大阪地裁判決平成12年12月16日)等が当たります。
但し、ソフトウエアの機能が同じでも、プログラムが異なる場合には「翻案」に当たりません(ソフトウエアの内容のアイデアには著作権は及ばないからです。)。
◆ 著作権の保護の対象となる「二次的著作物の利用」
(第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。)
翻案により生じた著作物に対しても、著作権者の権利が生じます。
文責 行政書士事務所 Golden Willer 国際経営・法務事務所
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